外国籍のまま日本に「安心・安定して暮らしたい」方へ。
永住権取得の条件や申請手順、成功ポイントを行政書士がわかりやすく徹底解説します。
永住権(永住許可)とは?
永住権(永住許可)とは、日本に無期限で安定的に住むことができる在留資格です。
在留資格を有する外国人で、在留資格の変更を希望する者又は出生等により在留資格の取得を希望する外国人が、永住者の在留資格への変更又は永住者の在留資格の取得を希望する場合に行います。
永住権のメリット
在留期間の制限がなくなる
通常の在留資格のように「1年更新」「3年更新」といった期限がなくなり、無期限で日本に住めるようになります。
更新の手続きが不要
面倒な在留資格の更新や、収入・雇用状態に左右される審査から解放されます。
就労制限がなくなる
就労可能な職種に制限がなくなり、どんな業種でも自由に働けるようになります。
社会的信用度の向上
住宅ローンやクレジットカード、賃貸契約などで永住者は信用が高くなる傾向があります。
家族にとってもメリットがある
配偶者や子どもの永住申請がしやすくなり、一家で安定した在留資格を目指せるようになります
国籍はそのままでOK(帰化とは違う)
永住権はあくまで「在留資格」なので、母国の国籍を保持したまま日本に定住できます。
「永住者」と「定住者」の違い
もちろんです!「永住者」と「定住者」は似たようなイメージを持たれがちですが、法的な立場や権利に明確な違いがあります。以下にわかりやすく整理してみました。
項目 | 永住者 | 定住者 |
---|---|---|
在留期間 | 無期限(更新不要) | 有期限(通常は1年〜5年で更新) |
在留資格の安定性 | 非常に安定(取消されにくい) | 条件次第で変更・取消の可能性あり |
就労制限 | なし(どんな仕事でも可能) | なし(同様に制限はない) |
国籍の保持 | 外国籍のままOK | 外国籍のままOK |
申請の難易度 | 高め(厳格な審査基準) | 比較的申請しやすい |
配偶者・子の在留資格 | 配偶者・子の永住申請にも有利 | 配偶者・子は個別に条件確認が必要 |
永住=国籍取得ではない
日本の永住権を取得しても、日本国籍に切り替わるわけではありません。
永住者はあくまで“外国籍のまま”日本に安定的に長期在留できる資格を持つという意味であり、市民権や選挙権などの「国民としての権利」は与えられません。
永住権の取得条件とは?
基本要件その1|素行が善良であること
永住権の申請において「素行が善良であること」は最も重要な要件のひとつです。これは、申請者が社会的に信頼できる人物であり、法令を遵守して生活していることを示す必要があるという意味です。
具体的には、過去に罰金刑や懲役刑などの法令違反歴がないことが前提となります。また、納税や年金、健康保険料といった公的義務を期限内に適切に履行しているかどうかも厳しくチェックされます。これらの義務を滞納していたり、不正な免除を受けていた場合は「善良性が欠ける」と判断されることがあります。
交通違反の回数や内容、資格外活動の違反歴なども審査対象になります。特に繰り返し違反がある場合には「法令遵守の意識が低い」とみなされ、永住許可の審査に不利に働く可能性があります。
基本要件その2|独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
「日本で安定した生活ができるかどうか」が大きなポイントになります。具体的には、次のようなことが求められます。
- 1.自立した暮らしをしていること
-
国の支援(生活保護など)に頼らず、自分の力で生活できているかが重要です。過去に受給していた場合は、その背景や現在の状況の説明も必要になることがあります。
- 2.安定した収入があること
-
目安として、年収300万円以上がひとつの基準になります。家族を扶養している場合は、その人数に応じて必要な収入額も増えます。収入の証明には、市区町村から発行される課税証明書や納税証明書などを提出します。
会社に勤めていない場合は、毎年確定申告をきちんと行っているかどうかがチェックされます。また、事業が安定して継続できているかを示すために、売上の推移や契約書、事業内容が分かる資料を備えておきましょう。
基本要件その3|その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
永住許可を得るためには、申請者の滞在が日本社会にとって利益があると認められる必要があります。
これは単に「長く日本に住んでいる」というだけでなく、継続性・安定性・社会適合性の3点を満たしているかが審査のポイントです。
- 原則として引き続き10年以上本邦に在留していることが求められます。そのうち少なくとも5年以上は就労資格(例:技術・人文知識・国際業務など)または居住資格(例:日本人の配偶者等、定住者など)で在留している必要があります。
- 罰金刑や懲役刑などを受けていないことも審査の上で重要な点です。また、公的義務(納税、公的年金や公的医療保険の保険料の納付、出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に行っている必要があります。
- 今持っている在留資格で、法令上認められている一番長い期間の許可を受けていることが条件です。例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の場合は「5年」の在留期間を持っている場合に条件クリアとなります。
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないことも確認されます。簡単に言うと、その人が病気などで周囲の人の健康に悪影響を与える可能性がないということです。たとえば、入国時に義務づけられている健康診断や、日常生活での医療履歴などが審査対象になる場合があります。
公的義務の履行については、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。
永住権申請の手順と必要書類
永住許可申請を提出・受領できる人について
申請提出者及び在留カードの受領者は以下の者に限られています。
- 申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)
- 申請人本人の法定代理人
- 取次者
永住許可申請の流れについて
前述のとおり、要件が備わっているか確認を行います。
在留資格や身分に応じて異なるため、後述の一覧をご参照ください。
永住許可申請の審査期間は、申請する地域や在留資格によって大きく異なります。標準処理期間(法務省公表)は「約4ヶ月」ですが、実際には半年〜1年半以上かかるケースが多いです。
許可後、在留カードの交付を受けます。
永住許可申請の必要書類について
申請人の方の在留資格や身分・地位によって異なります。在留資格や身分・地位に応じた資料を提出する必要があります。
詳細は出入国在留管理庁のホームページに記載があります。以下をご確認ください。
永住許可申請の申請手数料について
許可されるときは10,000円が必要です。収入印紙で納付します。
よくある質問
- 交通違反があると永住許可はもらえませんか?
-
軽微な違反(例:一時停止違反など)であれば問題にならないことが多いですが、繰り返し違反している場合や罰金刑を受けた場合は審査に影響する可能性があります。
- 年金や税金を滞納していたことがあります。申請できますか?
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公的義務の履行は重要な審査項目です。過去に滞納があっても、現在までに完納している場合は申請可能ですが、状況によっては不許可となることもあります。
- 永住許可申請中に在留期限が切れそうです。どうすればいいですか?
-
永住申請中でも、現在の在留資格の更新手続きは必要です。更新申請をしないと不法滞在になる可能性があるため、必ず期限前に手続きを行ってください。
- 永住許可が不許可になった場合、再申請できますか?
-
はい、再申請は可能です。不許可の理由を確認し、改善したうえで再度申請することが重要です。
永住権申請は行政書士に相談すべき?専門家に依頼する5つの理由
永住許可申請は、書類の量や審査の厳しさから「日本での最終審査」とも言われるほど慎重な対応が求められます。専門家に依頼することで、以下のような多くのメリットが得られます。
- 1.書類の不備を防ぎ、許可率を高められる
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行政書士などの専門家は、審査基準や過去の申請事例に精通しており、申請書類の記載ミスや漏れを防ぐことができます。これにより、不許可のリスクを大幅に軽減できます。
- 2.時間と手間を大幅に削減できる
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必要書類の収集や申請書の作成、入管とのやり取りなど、煩雑な作業を専門家が行います。仕事や家庭との両立が難しい方でも安心して申請を進められます。
- 3.審査中の対応もサポートしてもらえる
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審査期間中に追加資料の提出や事情説明を求められることがありますが、専門家が適切な対応を代行・助言してくれるため、精神的な負担も軽減されます。
- 4.不許可時の再申請にも備えられる
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万が一不許可となった場合でも、専門家は不許可理由の分析と改善策の提案を行い、再申請に向けた準備をサポートしてくれます。
- 5.最新の法改正や審査傾向に対応できる
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永住申請の基準は年々変化しています。専門家は最新の情報を常に把握しており、申請者の状況に合わせた最適な戦略を提案してくれます。
まとめ|永住権取得で安定した日本生活を目指そう
日本の永住権(永住許可)は、外国籍のまま無期限で日本に住み続けられる在留資格であり、生活・就労・信用面など多方面で大きなメリットがあります。
取得には、「素行が善良」「安定した収入」「長期かつ安定的な在留実績」などの厳しい審査要件がありますが、これらをクリアすることで、更新不要で安定した暮らしができます。書類の不備や公的義務の履行状況などが大きく影響し、交通違反や納税履歴など細かな点も評価対象になるため、事前準備と的確な書類提出が重要です。
不安な方や申請の確実性を高めたい方は、行政書士などの専門家へ相談することをお勧めします。
当事務所では、静岡県浜松市を中心に外国人の皆様に寄り添い在留資格の取得をサポートしております。
浜松市内だけでなく、遠方の方にも配慮し、オンライン面談を導入しております。全国どこからでも行政書士とオンラインで相談できるため、多忙な方や来所が難しい方にも柔軟に対応いたします。
永住権の取得について不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。